• 準備力
2018/06/14

自律神経のバランスは「トータルパワー」が握っている【ストレス性疲労をオフしよう③】

自律神経といえば、交感神経と副交感神経のバランスが大切。日頃オフラボをご覧になっていただいている方ならば、もう常識かもしれません。しかし、自律神経にはもう一つ大切な要素があります。自律神経の総合力「トータルパワー」です。連載「ストレス性疲労を知ろう」の第3回、今回も東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生に教えていただきました。

■傾いたバランスを整える。トータルパワーは自律神経の総合力

第1回、第2回で、疲労は自律神経中枢で起こっていることをお話してきました。人間関係や負荷の強い運動、気候環境などの外的ストレスを受けると、脳内では交感神経が過剰に働き、体が危険な状態にさらされているという信号として、「疲れた」と感じるさまざまな症状を生じさせるのです。どんなに不調や不快に感じても、ある意味、体を守るための大切な機能と言えるわけですが、このように交感神経に切り替わる、また別の状況では副交感神経に切り替わるといった必要に応じたスイッチングを下支えしているのが「トータルパワー」です。

ストレスに代表されるように交感神経は悪者にされがち、副交感神経はリラックス担当で快適にしてくれるもののように捉えていらっしゃる方もまだまだ多いようですが、大切なのは整ったバランスです。そしてバランスが崩れた時に、その偏りをいい状態に戻せる充実した力です。この力こそが、自律神経の総合力であるトータルパワーなのです。



■あなたのトータルパワー、10代の何分の一?

近年、測定機器の発達で、かなり正確にトータルパワーを計測できるようになりました。年齢ごとにどのように変化するかを示したグラフを見ると……加齢によりそのパワーは衰えて、10代をピークに右肩下がりで下降の一途をたどることがひと目でわかると思います。30~40代にかけて、男性も女性も、10代の約半分にまでパワーが落ちます。働き盛りのはずなのに、中年に差し掛かると「疲労で思うように動けない」のも当然のことです。

しかしそれでも「毎日何とかなっている」、あるいは疲れとは別に「仕事が楽になった」と感じることはありませんか? それこそが、人生経験です。年を重ねるにつれ、経験や、経験による要領で、足りなくなったトータルパワーのキャパシティを補完できるようになることは、もちろん悪いことではありません。しかし大切なのは、年齢と共にトータルパワーは落ちるものだと知っておくこと。そして、疲労を溜めない日常を心掛けることです。

<トータルパワーの加齢推移>


提供:東京疲労・睡眠クリニック



■トータルパワーは鍛えられるか?

加齢でパワーが落ちるなら、どうしたら鍛えられるのか。知りたいですよね? 残念ながら、今のところトータルパワーを鍛えることは難しいとされています。またこんな考え方もあります。トータルパワーを鍛えるということは、自律神経を鍛えるということ。つまり、自律神経に負荷がかかり、疲労の原因物質である活性酸素を発生させることにつながるかもしれないのです。

先ほど、負荷の強い運動は外的ストレスになり得るとお話ししました。例えば、マラソンやサッカー、テニスなどは、呼吸・心拍・血圧の3拍子で、“自律神経のスポーツ”といっても過言ではありません。試合直前まで過酷なトレーニングを重ねると、本人はパワーが上がっていると感じていても、実はとても疲れているということがほとんどです。アスリートレベルでは研究が進んでいますが、「適度なトレーニング」と「過度なトレーニング」の境を知ることは難しく、大概はオーバートレーニングに。トレーニングをすればするほど結果が出ない、というのはよくある話です。

【ストレス性疲労をオフしよう①】「飽きる」「眠い」がサイン。“隠れ疲労”にご注意を
【ストレス性疲労をオフしよう②】疲労の正体は自律神経のサビつきだった!



取材・執筆:オフラボ 監修:梶本修身

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