• 休息のオフ力
2018/10/25

世界中のドクターも注目するヨガのストレスオフ効果

ある調査によると、日本のヨガ人口はなんと770万人以上。これは日本人の約20人に一人はヨガをしている計算になります。目的は、美容や健康、あるいは趣味の一環という人が多いでしょう。しかし近年、世界的に注目を集めているのが、統合医療(代替医療)としてのヨガの効果。ストレスケアの有効性も実証されているのです。

■統合医療として期待を集めるヨガ

人気のフィットネスとして雑誌で取り上げられたり、モデルやタレントのライフスタイルとして紹介されたり。女性にとってはおしゃれでビューティな趣味のヨガですが、厚生労働省が「統合医療」に認定していることをご存知でしょうか。統合医療は“代替医療”とも呼ばれ、投薬を中心とした近代西洋医学と組み合わせて行う補完療法のこと。アメリカを中心に研究が進み、WHO(世界保健機関)でもガイドラインが定められている世界的に有効な医療の一つがヨガなのです。



■その効果が近年明らかに。ヨガ研究が国内外で活発に

「ヨガをした後は気持ちが落ち着く」「リフレッシュできる」、ヨガを実践している人の中には、そう感じている人も多いでしょう。その実感、どうやら気のせいではないようです。
2007年、ヨガのポージングや瞑想で、交感神経の亢進を抑制するアミノ酸の一種・GABA(ギャバ)が増えることが、ボストン大学のクリス・ストリーター博士らの研究で明らかになりました。[1]ストレス性疾患に対して処方される安定剤は、GABAの働きを強めることでストレス軽減作用を発揮します。つまりヨガでは安定剤と同じ効果が期待できるのです。

日本でも、国際医療福祉大学病院の岡孝和先生が、前職の九州大学病院心療内科在籍の2013年に報告書をまとめています。著しい疲労感が続く疾患「慢性疲労症候群」の患者に対してのヨガの有用性に対する研究です。
慢性疲労症候群に対する通常の治療(抗うつ薬・漢方薬などの投薬、心理療法など)を6か月間行っても十分な回復が得られなかった28名を無作為に2つのグループ分け、一方には通常の外来治療に加え、呼吸に合わせて心身を意識するヨガ(アイソメトリックヨガ)を8週間続けてもらいました。結果、ヨガを行ったグループは、疲労度合いを示すチャルダー疲労スケール得点が有意に低下。また、薬を減らして仕事に復帰できた人が1名おり、さらに1年後のフォローアップ中に薬を飲まなくてよくなった人が1名、仕事に復帰できた人が2名と、良好な結果が得られました。[2]

<8週間前後のチャルダー疲労スケールの変化>



■ヨガを取り入れるなら注意点も

さて、多少ポーズがきつくても、時に筋肉痛になったとしても、健康な人にとっては楽しいストレスオフのヨガですが、ストレス性疲労を抱えている人は注意が必要です。2013年、約2,500名のヨガ教室参加者と、約270名のヨガ指導者を対象に岡先生が行った大規模調査によると、受講生の取り組み方や、その日の体調がヨガ後の体調に影響を及ぼす傾向が。「その日のヨガの受講が精神的にきつい」と感じた人は、そうでない人の6倍、筋肉痛や気が遠くなるといった好ましくない反応を生じていたそう。指導者の所感にも、「体調を無視していた」「がんばり過ぎていた」「無理をしていた」などが多く挙がりました。

また気持ちの落ち込みが激しい時には、自らの内面と向き合うことでかえって不安があおられてしまうこともあります。いつでも誰でも「ヨガをすれば健康になれる!」わけではありません。自分の体調とよく相談し、精神的に辛いときは無理をしない、体が辛い時にはがんばり過ぎず、上手にストレスオフにヨガを取り入れてみてください。




【参考文献】
[1]Chris C. Streeter (2007) Effects of Yoga Versus Walking on Mood, Anxiety, and Brain GABA Levels: A Randomized Controlled MRS, Study, pp.1-2.
[2]岡孝和(2013)厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)分担研究報告書「慢性疲労症候群に対するアイソメトリックヨーガ併用の安全性、有用性、経済性に関する検討」, pp.1-8.



取材・執筆:オフラボ 監修:岡孝和

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